「♪もういくつ寝るとお正月」

こんな歌が聞こえてくるような時期、お正月の正式なお作法が気になるところです。

日本のお正月にまつわる行事にはさまざまな歴史があり、正しいお作法や歴史を知っておくとご利益UPや金運UPに繋がると考えてもよいでしょう。

今年はこの記事を読んで、正式なお作法に則ったお正月を過ごしてみませんか?

この記事ではお屠蘇・若水・正月始めなど、なかなか普段知る機会のないお正月に関する解説をご紹介していきます。

大晦日までに行うイベント

年末の大イベントといえば大晦日です。ただし年末は何も、大晦日だけではありません。

意外と知られていないこととして、大晦日までに行うイベントには様々あります。

具体的に大晦日までに行うイベントには、以下のようなものがあります。

正月始め

お正月を迎える準備をスタートさせるのが正月始めです。毎年12月13日から始められ、神社などで煤払い(すすはらい)が始まると、ニュースに取り上げられるなど毎年の風物詩でもあります。

また12月13日は「鬼宿日」といい、婚礼以外はなにをしても縁起が良い日とされています。よって、この日から物事を始めるのが良いと考えられます。

ちなみに煤払いは一年間の家の埃や煤を払い落とすことを言い、埃や煤と一緒に「厄」を払い、文字通り祓い清めたクリアな状態で、神様(正月にやってくる年神様を含む)をお家にお迎えする準備をすることを言います。

その他にもいくつか正月初めの伝統的な行事があるのでご紹介します。

松迎

松迎は正月に使う木を山から伐ってくることをいいます。門松やおせちを作るための薪などに使います。

年男

干支の男性ということではなく、お正月の準備を率先して行い、そして取り仕切る家長のことを言います。

昔は現在よりもお正月の準備がとても大掛かりでしたから、とても大変重要な役割だったのです。

正月飾り

正月飾りとは、新年に飾るもの全般を指します。具体的には門松・注連縄・しめ飾りなどがそれに当たります。

これらは神社や寺院などの縁起物に起源を持ち、その形にも意味が込められています。

 

ちなみにこちらは12月13日以降に飾り始めます。なぜなら大掃除や煤払いなど、お清めの行事が終わってから飾るべきものだからです。

おおよそクリスマスが終わった12月26日から12月31日の間に飾られる方が、最近は多い傾向にあります。

一番多いのは28日と言ってよいでしょう。“8”が末広がりで縁起が良いので、28日に飾られることが多いというわけです。

 

一方、29日は”二重苦”や”苦”を連想させるため避けるべきと昔から考えられています。

31日も、葬式と同じ一夜飾りになるから縁起が悪いとか、神様は大晦日の早朝に来るから間に合わないなどという理由から、避けるのが一般的です。

お正月飾りについては一般的に1月7日まで飾り続け、松の内が過ぎれば飾りを外すことになります。ただし地域によっては1月15日まで飾り続けるケースもあります。

しめ縄、しめ飾り

神様を迎える為に、ここは神聖な場所だと分かるようにしめ縄やしめ飾りを玄関・神棚に飾る行事です。

しめ飾りの由来は、簡単に言えば「歳神(年神)さまの依代」です。歳神と呼ばれる年を司る神の依代であり、これを玄関などに吊るしておきます。すると、歳神はその家に留まりやすくなると昔から信じられています。

鏡餅

神様へのお供え物であり、依り代です。正月に硬いものを食べる「歯固め」に由来します。

鏡餅という名前は、祭事に使う鏡から来ており、丸もちは魂を表わしていると考えられます。

2段になっているのは、太陽と月、陰と陽を表わしており、円満に年を迎えられるようにという願いも込められています。床の間・リビングに飾るのが一般的でしょう。

ちなみに完全なる余談ですが・・・鏡餅は昔からカビやすく、鏡開きの時期まで綺麗な状態を保てないのが一般的です。

しかし最近は真空パックの鏡餅があり、その他、ワサビを搗き込んだ、抗菌作用を持った鏡餅なども地域によっては親しまれています。

一般的なご家庭で鏡餅を飾る場合、鏡餅の周辺にワサビを置いておくとカビづらいという傾向にあります。筆者も例年、ワサビを鏡餅の周りに設置してカビ対策をしています。

門松

門松は玄関先や門に飾ります。神様がやってくるときの案内役であり、目印でもあるわけです。

松の木は古来より神様が宿る木とされており、昔は1本だけでしたが、雄松と雌松の二対になり、梅や竹を一緒に飾るようになったのです。

門松を飾る期間=神様がいらっしゃる期間となり、これを「松の内」といい、1月7日まで、関西などでは1月15日まで飾ります。

門松の起源は諸説あり、はっきりとしたことはよくわかっていません。

 

ただ、平安時代には既に行われていたそうなので、比較的古くからある習慣であると言えますね。

また、門松は神様をお招きする目印として立てられす。八百万の神様と言われるほど多くの神様がいますが、新年に門松を目印にいらっしゃる神様は年神様(年神、歳神様、歳徳神)です。

歳徳神というのはその年の初めに訪れる幸運の神のことです。家にやって来れば福をもたらしてくれると考えられているんですね。

年賀状

年賀状は最も有名なお正月の風物詩の一つでしょう年賀状の由来について解説します。年賀状の由来は、奈良時代にまで遡ることができます。

奈良時代から年始の挨拶行っており、平安時代には貴族や公家が年始の挨拶を文書によって行うことが一般的となり、ここからさらに武家社会において年始の挨拶=年賀状となったわけです。

さらに時代が進み、近現代では年賀状のやり取りが「主に遠方の方との、1年に1度のコミュニケーションツール」となったというわけです。

 

年賀状をやり取りすることのメリットは、

  • 相手が今何をしているのかわかる
  • 相手に自分の近況を知らせることができる
  • 相手の健康を願うことが出来る

といった点にあります。

現代ではメールやSNSが発達しているなどの理由で年賀状をやり取りする機会が減る傾向にありますが、それでも、やはり年賀状を送る人はいるもので、そういう人たちのために、年賀状の印刷サービスを行う会社も増えてきました。普段はSNSでやり取りしていても、新年のご挨拶をオフラインの紙でお送りするというのもお正月ならではの出来事です。

 

とはいえSNSやLINEでのやり取りでも、年賀状を送りたいという気持ちは伝わるでしょう。特にネット上の知り合いや友人関係の場合住所の交換が不適切というケースもあります。

元旦に行うイベント

ここでは元旦に行うイベントについて解説します。日本のお正月は元旦が重要です。具体的には以下のようなイベントを行います。

お屠蘇

お屠蘇とは、正月に飲む薬酒のことです。屠蘇散という生薬をその原料としています。

この屠蘇散は、新年を迎えるにあたって身体の中の悪い気(邪気)を払うとされていました。

また、屠蘇散の原料である数種類の薬草は当時万病に効くと信じられていたため、一年の健康を願って飲まれていたという傾向もあります。

 

名称の由来としては「邪気を払い(屠る)、魂を蘇らせる」という説の他、「蘇」という名の悪鬼を屠る(ほふる)という説、さらに「屠殺」と「蘇生」つまり鬼邪気病を追い払って新たな魂を蘇らせるという説など、諸説あります。

考え方こそ地域などによって異なりますが、悪いものを払い、良いものを招き入れることは共通しています。

ちなみに最近は、屠蘇散を使用せず、年末年始に日本酒・清酒を飲むことでお屠蘇の代わりとするケースもあります。

おせち

おせちについて解説します。おせちとは、元来は正月三箇日の料理を指したものですが、現代では年末に作る御節料理を指しています。

おせちの種類は地方によって異なりますが、代表的なものとしては以下の5種類になります。

 

  1. 黒豆
  2. 田作り
  3. 数の子
  4. 昆布巻き
  5. 栗きんとん

 

それぞれの由来を見ていきましょう。

 

まず1つ目、黒豆にはその色から邪気を払う力があると信じられており、これが「邪気払い」を願うことにつながりました。また黒豆には「マメ」という語感から、「まめまめしく働く」という意味を込めて「勤勉」という意味合いが当てられたりしています。

地方によって考え方に諸説はあるものの、おおよそ黒豆にはこのような意味があります。

 

続いて田作りについて見ていきましょう。

これは「たづくり」と読み、ご存知の方も多いと思います。小さなカタクチイワシを干した「ごまめ」を炒って甘辛く仕上げたものです。「祝い肴三種」のひとつです。

この漢字は「多作」を意味しており、「豊年豊作」の縁起物とされてきました。

 

次に数の子はご存知の通りニシンの卵です。高級品です。「子孫繁昌」を願ったものとされています。おせちの代表選手といっても良いでしょう。

 

そしておせちといえば、昆布巻きです。こちらも有名ですね。

昆布には「よろこぶ」に通じることから「喜びを重ねる」縁起物として喜ばれ、良縁が結ばれるようにとの願いを込めて結ばれているというわけです。昆布巻きの中には何も入れないという地方もあれば、イワシやニシンなどを巻き込むという地方もあります。

ただし、共通して甘辛く味付けをする傾向にあります。

 

最後に栗きんとんは、栗の実を甘く煮て裏漉ししたものを用いて作られます。最近は手軽に作るため、さつまいもを混ぜ込むケースもあります。金運アップのおまじないとして使われることもあります。

 

ちなみに、筆者が育った北海道のおせちは鮭がメインになりがちですが・・・函館などではいくらを入れているところもあるとか。

基本的には醤油ベースで出汁を入れる場合が多いですが、味噌仕立てや塩味だけのところもありますね。地域により違いが大きいため、一概にこうだとは言えません。

若水

若水について解説します。

1月1日の朝に初めて汲んだ井戸水を飲み、そして神様へお供えすると一年間健康でいられるというものです。

邪気を取り除くと信じられており、昔は正月の行事を取り仕切る年男が汲んでくることが一般的でした。

ちなみに水を汲みに行く時は、人に会っても口をきかないという「しきたり」がありました。

とは言え最近は井戸水などもそうそうありません。心を込めて水道で水を汲んだり、ペットボトルのミネラルウォーターを使うというのもよろしいでしょう。

松の内までに行うイベント

松の内とは、正月の松飾りが終わるまでの期間のことです。

具体的には元日から1月7日までを指します。

※一部地域では1月15日という所もあります。

 

この期間までに、門松や注連縄などを片付ける風習が残されています。

松の内までに行うイベントとしては初詣・お年玉・鏡開きといったものがあります。ここでは代表的なものとして、上記をご紹介していきます。

初詣

初詣は読んで字のごとくその年に初めて、神社や寺院などへ行くことを指します。特に有名なところを挙げるとすれば、伊勢神宮や出雲大社でしょう。

神社や寺院ではさまざまな催しが行われていますが、代表的なものとして、初穂料を納めて御札・破魔矢などを授かる授与品納め式、甘酒を振る舞ったり神楽を奉納したりする御神火祭、そして、おみくじを引く大的会などがあります。神社によっては、お守りや絵馬などの販売もしている場合がありますね。

 

ちなみに神社の場合、一番最初にお参りすべきは氏神様の神社です。

特に信仰がある場合はその限りではないものの、一般的にはまず氏神様の神社へお参りして、その後、各種ご利益のあるとされる神社へお参りされるのがよろしいでしょう。

なお、氏神様とは、その土地に住んでいる人たちの祖先にあたる神様のことです。

ですので、もしあなたが住んでいる地域の近くに氏神様がいない場合は、近くの大きな神社へ参拝するのが無難と言えるでしょう。

また、新しく引っ越してきた方で近くに氏神様がない方は、その土地の小さな神社に挨拶に行くことをオススメします。

 

お参りする際は基本的に手水舎で手を清めることを忘れないようにしてください(※コロナ禍で中止していることがあります)。また二礼四拍手一拝の作法を守ってくださいね。

参拝の仕方は場所によって異なる場合もありますが、基本的には神社であれば本殿に向かって正面を向いて立ち、深く頭を下げてから願い事を唱え、再び深く頭を下げるというものになります。

お寺の場合は除夜の鐘が有名でしょうか。他には護摩祈祷なども有名ですね。また、お寺の境内で焚き上げられる「煙供養」というものもあるようです。

縁結びの神社

ところで、ご利益を授かろうと恋愛や金運などに通じる神社へ参拝する方もいらっしゃるでしょう。恋愛や金運、勝負、学問の神社をご紹介していきます。

 

まず、縁結びの神社として知られている場所はいくつもあるのですが、その中でも代表的なところが出雲大社ではないでしょうか。

島根県にある出雲大社は、日本有数の恋愛成就のご利益があると言われている神社です。

 

これは恋愛の他ビジネスの運についても、良縁を授けてくださる神社として知られています。

祭神である須佐之男尊(素兎の子)の娘である奇稲田姫(くしなだひめ)と結婚し、その後多くの神様を生み出したことで知られています。

そのため、別名「縁結びの神」とも呼ばれており、良縁祈願に訪れる人が多いのです。

なお、出雲大社についてはお参りの作法が一般的な神社とは異なります。一般的な神社は二礼二拍手一礼ですが、出雲大社の場合はニ礼「四拍手」一礼となります。

勝負運の神社

お正月に訪れるべき勝負運を授けてくれる神社は以下のようなものがあります。

 

日枝神社:徳川家康ゆかりの神社

日吉神社:大山咋神ゆかりの神社

熱田神宮:織田信長ゆかりとされる神社

明治神宮:明治天皇ゆかりの神社

 

恋愛や仕事など、ここぞ勝負をかけるタイミングで参拝したいですね。

学問成就の神社

学問成就の神社はどうでしょう。学生さんや資格取得のため受験という方も多いでしょう。

学問成就で訪れておくべき神社には以下のようなものがあります。

 

太宰府天満宮:合格祈願で有名な神社

北野天満宮:学問の神様で有名な神社

亀戸天神社:菅原道真公を祀る天満宮の一つ

 

この他にも様々な学問の神様の神社があります。

また菅原道真公は学問の神様としてお祀りされており、道真公をお祀りする神社は一般的に天満宮と名前がつきます。

商売繁盛の神社

その他ご商売で神社に初詣祈願をされたいという方もいらっしゃるでしょう。「金運」で有名な神社は次のようなものがあります。

 

銭洗弁天:お金が増えると言われている神社

猿田彦大神:道開きの神として知られている神社

今宮戎神社:えべっさんとして関西で有名な神社

神田明神:平将門命を祀り、大手町や丸の内エリアなどが氏子の神社

お年玉・お年賀

お年玉とお年賀についてまとめます。

目上の者から目下の者へお金などを渡すのがお年玉、目下の者が目上の者にお金や品物を渡すのがお年賀です。

 

お年玉やお年賀は以下のような相場で渡すと良いでしょう。

◯まずは親戚の子供へのお年玉の相場は3,000円前後です。甥姪など年齢の近い子供へ渡す場合は5,000円~10,000円程度、甥姪より少し上の兄弟などに対しては7,000円ほどを目安にするとよろしいでしょう。

◯祖父母など目上にお渡しする場合には1万円以上を包むこともあります。夫婦間ではお互いの両親にお礼としてお渡しすることもあります。

 

◯続いて部下へのお年玉の相場は以下の通りです。

上司の場合は10,000〜20,000円ですが、役職者ではない社員の場合、5,000円から10,000円の範囲内に収めるのが一般的です。

取引先の社員や同僚などに対してお渡しする場合もあります。この場合は3,000〜5,000円くらいが妥当なラインです。

 

◯カップル同士でお年玉を渡す場合について解説します。

恋人同士であればお互いに2,000円前後のお年玉や品物を贈り合うことがあります。

結婚しているのならば配偶者にも同様にお年玉を渡しすることがあります。夫婦間のやり取りは、夫→妻、妻→夫の順で、それぞれ5,000円前後です。

気持ちの良い一年のスタートが切れるよう、スマートにお渡ししたいものです。

 

鏡開き

鏡開きは一般的には松の内が明ける日に行います。地域によって1月11日または1月15日か20日、というケースが多く見られます。

また、鏡開きは地域によってやり方が異なる場合があります。

一般的に切るという言葉は縁起が悪いという考え方があるため、鏡開きの際、刃物を使うことはまずありません。

その他鏡餅は一般的に神様が宿るとされており、神様に刃物を使うことは禁忌という考え方を持つ地方もあります。

よって木槌で乾燥した鏡餅を叩き割るのが一般的な風習です。

一方で剣道や空手など武芸の道(道場など)で鏡開きを行う場合は、日本刀を使って鏡開きを行うケースもあります。こちらは主に北海道で見られる風習です。

まとめ

今回はお正月の正式なお作法についてご紹介してきました。この他にも様々なお正月のお作法があります。しかし重要なのは心を清らかにして新しい年を迎えることです。

今年の汚れは今年のうちに全て祓い清め、そして新しい気持ちで新年を迎えられますように・・・あなたにとって、素晴らしい新年の幕開けをお迎えください!