「初詣」。新たな年に初めて寺社仏閣へお参りすることです。なんとなく小さい頃から初詣には出かけていたし、初詣デートも行くよ!という方もいらっしゃるでしょう。ところで、初詣のマナーは大丈夫でしょうか?実は初詣にはいくつか作法やマナーがあります。ここでは初詣や寺社仏閣へのお参りの作法から、全国の有名な神様までを解説していきます。

 

初詣客必見!参拝のマナーは?

せっかくの初詣ですから、参拝のマナーはきちんと押さえておきましょう。ここでは基本的な神社へ初詣をする時の作法についてご紹介します。

 

ただし、神社によってはこの後ご紹介するように「独自のお作法(礼の数が基本と異なるなど)」があるケースもありますので、その場合には各神社さんの案内などを確認しておきましょう。

 

第一段階・鳥居をくぐる

まずは神社に入る時、鳥居をくぐります。こちらは基本的に神様がお通りになる道とされていますので、真っ正面から堂々と入るのはよくありません。

 

規則的には、鳥居をくぐる時には端っこを通り、またくぐる時には一礼してからくぐるのがベターです。

 

一部、北海道札幌市にある北海道神宮の大鳥居の様にとても大きな鳥居で、幅は道路をまたぎ高さは十メートル以上といったケースでは、車で鳥居を通過する場合もあります。この場合は、やむを得ませんので心の中で一礼しつつくぐるようにしましょう。

 

 

第二段階・手水

鳥居をくぐって神社の中に入ったら、続いて手水舎(てみずや・ちょうずや)で手水を行います。手水は、文字通りお参りの前に水で手を清めることを言います。

 

ほとんどの場合、境内には手水舎といって手水鉢に水が張ってあったり、水道が使える場所があります。

 

そちらで、お参りの前に手と口を清めることになります。

まずは、右手で柄杓(ひしゃく)を取り、水を汲んで左手にかけて洗い清めます。続いて、柄杓を左手に持ち替えて右手を同じように洗い清めます。

 

両手を洗い清めたら、次は右手に持ったままの柄杓で左手に水をため、その水で口をゆすぎます。

 

最後に、柄杓を立てて柄杓の柄を水で洗い流し、終了です。

 

ここで注意しておきたいのは、柄杓一杯の水で上記の工程をすべて行う必要があることです。途中で水が足りなくなってしまった場合は、混雑していなければ最初からやり直すことになります。

 

なお余談ですが、いわゆる「トップ・オブ・神宮」である伊勢神宮の内宮は、五十鈴川といって川そのものが御手洗場として使われています。(※ただし、近年は水質の関係で手水舎もあります)

 

 

第三段階・お参り

続いて、いよいよお参りです。

 

一般的には神社の社殿に向かってお賽銭を入れ、お参りをします。よくある光景ですね。

 

大原則は、社殿(鈴やお賽銭箱があるところ)に向かい、まずは軽く一礼します。

 

その後お賽銭を入れ、鐘または鈴を鳴らし、

 

深く二礼

二拍手

深く二礼

軽く一礼

 

で、お参りは完了です。

 

 

 

【コラム】初詣は真夏でも「初詣」?

ところで初詣は、いつお参りすべきなのでしょう?

 

基本的に初詣といえば、1月1日から1月3日まで、正月三が日に行うものというのがよく知られている「共通認識」です。しかし、厳密にはその年初めて寺社仏閣(※特に神社)にお参りすることをもって初詣としていますので、極端な話で言えば、真夏に初詣があってもおかしくはないというわけです。

 

 

ご祭神とは?全国の有名な神様を紹介!

「御祭神・ご祭神」という言葉をご存知でしょうか。各神社でお祀りしている神様をご祭神と言います。よく神社へお参りすると立て看板などでその神社の由緒、つまり歴史が説明されおり、そこに御祭神も説明されているのでその神社の神様を知ることができます。また、神社では複数の神様をお祀りするケースが多く、この場合はご祭神も複数書かれています。

 

そして、ご祭神にもいくつかのタイプに分かれます。覚えておくと由緒も理解しやすいですよ。

 

主神・主祭神 → その神社で主としてお祀りしている神様

配神・配祀神・相殿神 → 主神以外にお祀りしている神様

 

また、「意中の人と付き合いたい」「商売繁盛・金運UPしたい」など個人的な信仰などで氏神様(お住まいの地域でお祀りしている神様)以外にも別の神社を参拝することは問題ありません。縁結びを望むのであれば縁結びにゆかりある神様をお祀りする神社に参拝します。

 

それでは、一宮や神宮など代表的な神社にお祀りされている神様を北は北海道、南は沖縄までご紹介していきます。

北海道・東北の神様

ここからは神様のご紹介をするにあたり、「柱」という言葉も使います。柱とは一体なんでしょうか。

 

神社は複数の神様をお祀りしていますが、神様は人ではないので一人、二人とは数えません。一体、二体とも数えません。神様を数える時の単位は「柱(はしら)」となります。たとえば、三柱と書かれていれば、◯◯と◯◯神と◯◯神の三柱の神様をお祀りしていることになります。

北海道神宮:開拓三神

祭神:大国魂神(おおくにたまのかみ)、大那牟遅神(おおなむちのかみ)、少彦名神 (すくなひこなのかみ)、明治天皇

住所:北海道札幌市中央区宮ケ丘474

URL:http://www.hokkaidojingu.or.jp/

 

原則一国につき一社設けられる一宮ですが、北海道の一宮は北海道神宮です。

その北海道神宮に祀られ北海道の開拓や発展を守る神様三柱を総称して「開拓三神」と呼びます。あらゆるご利益があるとされ、パワースポットとなっています。

 

なお、ご祭神の大那牟遅神は出雲大社の主神・大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名です。簡単に言えば、同じ神様です。出雲大社といえば縁結びですから、北海道神宮も縁結びのご利益があると人気なのです。

志波彦神社・鹽竈神社:塩土老翁神

祭神:志波彦大神(しわひこおおみかみ)、塩土老翁神(しおつちおじのかみ)、武甕槌神(たけみかづちのかみ)、経津主神(ふつぬしのかみ)

住所:宮城県塩竈市一森山1番1号

URL:http://www.shiogamajinja.jp/index.html

 

こちらは同じ土地に志波彦(しわひこ)神社と鹽竈(しおがま)神社が鎮座する珍しい神社です。鹽竈神社があったところに、志波彦神社が遷祀されてきた、という経緯があります。

 

ざっくり言えば・・・志波彦神社は朝廷の尊崇を受け、鹽竈神社は陸奥国の一宮として朝廷から武家、庶民まで崇敬されていた神社です。

 

こちらの鹽竈神社は鹽竈神社の総本社であり古社でもあります。

 

「三本殿二拝殿」と極めて珍しい造りで、そういった部分でも有名です。

 

とくに漁業や塩の作り方を教えた塩の神様・塩土老翁神をお祀りしており、業業や製塩業の人のほかにも、塩ということで浄化したいという人も訪れることで知られます。

気多大社:大己貴命

祭神:大己貴命(おおなむちのみこと)

住所:石川県羽咋市寺家町ク1-1

URL:https://keta.jp/

 

北陸能登の一宮、現在も北陸屈指の大社です。

主神の大己貴命は出雲大社の主神である大国主神(おおくにぬしのかみ)の別名です。北海道神宮同様に出雲大社と言えば縁結び、気多大社も「縁結び祭」「心むすび大祭」など縁結びの祭事があります。

 

国の天然記念物、国の重要文化財もあり、さらには昭和天皇の行幸も経験している大社です。

 

境内の入らずの森の奥宮には素戔嗚命と櫛稲田姫の二柱がお祀りされており、一年に一度だけ宮司が奥宮に入ります。

上杉神社:上杉謙信

祭神:上杉謙信

住所:米沢市丸の内1-4-13

URL:http://yamagatakanko.com/spotdetail/?data_id=1390

 

神社は日本神話に出てくる古代の神様だけでなく、菅原道真公や明治天皇などもお祀りされています。

 

更に、戦国武将をお祀りしている神社もあり、その一つが上杉神社です。

上杉謙信をお祀りする上杉神社は米沢城本丸跡地に建てられ、時が流れて令和になった今でも米沢市民から親しまれています。

 

上杉神社から分霊され、上杉謙信をお祀りする神社には春日山神社(米沢市)もあります。

 

かつては上杉鷹山(ようざん・米沢藩9代藩主)も祭神として上杉神社に祀られましたが、現在は摂社の松岬神社でお祀りされています。

 

ちなみに、上杉神社のように戦国武将や大名をお祀りしている神社はほかにもあります。

山内一豊と見性院、歴代土佐藩主をお祀りする山内神社(高知県)や本多忠勝をお祀りする龍城神社(愛知県)もあります。

関東の神様

ここからは、東京都内をはじめとして、様々な関東圏や東海エリアの有名な神様についてご紹介していきます。

 

普段何となくイベント的にお参りしている神様が、実はこんな神様だったんだ!など、新たな発見につながれば幸いです。

明治神宮:明治天皇

祭神:明治天皇、昭憲皇太后

住所:東京都渋谷区代々木神園町1-1

URL:http://www.meijijingu.or.jp/

 

まずご紹介するのは明治神宮です。

 

都会のオアシスでもある明治神宮は一体どんな神社でしょう?

 

こちらは、明治天皇と皇太后をお祀りする神社です。

初詣では日本一参拝される神社のひとつで、パワースポットとしても有名です。とくに清正井(きよまさのいど)の聖水は広く知られています。

 

よく横綱の奉納土俵がTVニュースで放送されますが、その奉納場所が明治神宮なのです。

 

建立は1920年、2020年は鎮座100年で記念すべき年でもあります。

 

明治神宮は「日の出と共に開門し、日の入りに合わせて閉門」することでも知られており、夏場であれば朝の5時から開門します。

 

ちなみに、天皇や天照大御神のような皇祖神(こうそしん・皇室の祖の神様)をお祀りする神社は「◯◯神宮」という名前になることが大半です。

そのため◯◯神宮とあれば、天皇や皇祖神をお祀りしているとおおよそ判断できますよ。

鶴岡八幡宮:応神天皇

祭神:応神天皇(おうじんてんのう)、比売神(ひめがみ)、神功皇后(じんぐうこうごう)

住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-31

URL:https://www.hachimangu.or.jp/

 

鎌倉の観光地でありパワースポットでもある鶴岡八幡宮。

1063年に源頼義が源氏の氏神としてお祀りを始めたのが鶴岡八幡宮のはじまりです。

 

摂末社の白旗神社には源頼朝と源実朝が、今宮には承久の乱で配流された後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇がお祀りされています。

 

応神天皇とその母であり摂政の神功皇后、そして比売神の三柱を八幡三神と信仰されており、応神天皇は八幡神とも祀られ、武家が武運を祈願する際に崇敬されました。

日光東照宮:徳川家康

祭神:徳川家康

住所:栃木県日光市山内2301

URL:http://www.toshogu.jp/

 

日光東照宮、時代劇にも数多く登場する有名な神社です。こちらの御祭神は、徳川家康公。江戸幕府の初代将軍です。

 

ところで、日光東照宮は非常に強力なパワースポットとしても知られており、豪華絢爛な境内や社殿はもちろんのこと、徳川家康公のご意思が反映されていますから特に人を引っ張る人やリーダー的存在の方がパワーを頂きやすいという声が多く聞かれます。

 

ちなみにこちらの日光東照宮、土地そのものがエネルギーに満ち溢れた場所で、さらにその境内についても陰陽道はもちろんのこと風水、その他様々な要素を絡め、最も運気の良い場所として仕上げられています。

パワースポットに足を踏み入れただけで、何か普通とは違う空気や雰囲気を感じる方は、日光東照宮でも気力体力をチャージできそうです。

鹿島神宮:武甕槌大神

祭神:武甕槌大神(たけみかづちのかみ)

住所:茨城県鹿嶋市宮中 2306-1

URL:http://kashimajingu.jp/

 

常陸国の一宮として鎮座する、鹿島神社の総本社です。

 

鹿島神社は摂末社・所管社が合計23社、国宝や重要文化財も有する歴史ある神社としても知られています。

 

こちらにお祀りされている武甕槌大神は、先程ご紹介した鹽竈神社にもお祀りされています。

 

武神、軍神、雷神ともしても崇められ、国土平定にも寄与したとの声が高い神様です。また、武神として武家からも篤く信仰されました。

 

また、剣道や空手などの道場にはよく鹿島大明神と香取大明神の掛け軸がかけられていますが、この鹿島大明神も鹿島神宮で祀られている武甕槌大神のことです。

 

香取大明神もまた武神で、千葉の香取神宮にお祀りされている経津主神のことです。どちらも武神や武術の神様として昔から道場に掛け軸がかけられることが多く、縁を持つ方も多くいらっしゃいます。

関西の神様

関西からは、極めて有名な神様をお祀りしている神社をご紹介します。「お伊勢さん」や「熊野本宮大社」には、どのような神様がいらっしゃるのでしょうか。

伊勢神宮:天照大御神

祭神:天照大御神(あまてらすおおかみ)、豊受大御神(とようけだいじんぐう)

住所:三重県伊勢市宇治館町1

URL:https://www.isejingu.or.jp/

 

神社の中でも伊勢の神宮は別格と言われます。

 

これまでご紹介してきたように国内には〇〇神宮という神社は複数ありますが、伊勢神宮の正式名称は「神宮」なんです。つまり伊勢神宮は通称で、本来は伊勢周辺に鎮座する125ものお社を総称して神宮とお呼びします。

 

そして伊勢神宮には内宮と外宮があり、内宮には天照大御神を、外宮には豊受大御神をお祀りしています。

 

天照大御神は「日本神話の主神」「日本国民の総氏神」「皇祖神」「太陽神」などそうそうたる神格があります。豊受大御神は衣食住、産業の神様としてお祀りしています。

 

最近では御即位に関する一連の行事で両陛下が伊勢神宮にご参拝されるなど天照大御神と皇室の深い繋がりが注目されました。

熊野本宮大社:家津美御子大神

祭神:家津美御子大神(スサノオノミコト)、熊野十二所権現

住所:和歌山県田辺市本宮町本宮

URL:http://www.hongutaisha.jp/

 

平時安時代の貴族や皇族、室町時代には武家や庶民にも広がった熊野信仰でおなじみです。

 

熊野三山(本宮・那智・新宮)の一つ、熊野本宮大社では家津美御子大神がお祀りされています。熊野には多くの神様(熊野権現)がいらっしゃるため、熊野三山では天照大神を始めとするお祀りしている神様を総称して熊野十二所権現と言いますが、熊野三山ではそれぞれ主祭神が異なります。

四国・中国・九州・沖縄の神様

四国や中国地方、そして九州沖縄地方にも、有名な神様が鎮座されています。ここでは、四つのエリアの神様についてご紹介していきます。パワースポットとして有名な神社も多いため、こちらで知識をつけてから、お参りをすることでより強力にパワーをいただけるかもしれませんね。

厳島神社:宗像三女神

祭神:市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)、田心姫命(たごりひめのみこと)、湍津姫命(たぎつひめのみこと)

住所:広島県廿日市市宮島町1-1

URL:http://www.itsukushimajinja.jp/index.html

 

広島県の宮島にある、世界文化遺産としても知られる厳島神社。こちらは1400年の歴史があり、そもそもが海の上に建てられているという極めて珍しい特徴を持ちます。

 

厳島神社でお祭りされているのは、市杵島姫命、田心姫命、そして湍津姫命。いわゆる宗像三女神です。

 

もともと宗像三女神は、分かりやすくご説明すると「道」に関することや交通、そして海の道(船舶航行など)の担当の3柱の神様です。いわゆる水難除けや車の交通安全などのご利益が厳島神社にはあるというわけです。

宮古神社:熊野三神と豊見親三神

祭神:伊弉冉大神(いざなみのおおかみ)、速玉男之神(はやたまおのかみ)、事解男之神(ことさかおのかみ)、與那覇恵源命(よなはけいげんのみこと)、目黒盛定政命(めぐろもりていせいのみこと)、仲宗根玄雅命(なかそねげんがのみこと)

住所:沖縄県宮古島市平良字西里5−1

URL:http://www.miyako-jinja.com/index.html

 

神社庁に属する神社として日本最南端の神社が宮古神社です。

神社巡りを趣味とされているなら、最南端の神社として一度は訪れてみたいのではないでしょうか。

 

お祀りしている神様はなんと六柱。1590年に沖縄にある波上宮から熊野三神を勧請したことに始まり、宮古島の豊見親三柱とあわせて六柱がお祀りされています。熊野三神は先ほど熊野本宮大社でご紹介した熊野でお祀りしている神様の三柱です。和歌山と宮古島、距離は離れていますがこのような繋がりがあるんですね。

 

まとめ

初詣は毎年の通過儀礼だから、例年何気なく訪れていた・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように神社と一口に言っても全国には様々な神様がお祀りされており、神社によってはご利益が異なるケースもあります。

 

また初詣にとどまらず普段の参拝にも実はこんなマナーがあった、というわけです。どうせパワースポットや神社にお参りしてパワーをもらうのですから、より正確な作法にてお参りをしたいものです。

 

パワースポット巡りや神社巡り、さらには御朱印巡りなどにも使えますので、是非保存版としてブックマークしておいて頂ければと思います。