NISAの導入・普及などにより、今や空前の投資ブームといってよいでしょう。そしてその中で特に株取引は参入する初心者投資家が増えていますが、リーマンショックや様々な○○ショックなど、株の初心者が手を出して大損をしたり危険な目にあうというイメージも払拭しきれていないのが現実です。

 

しかし、株の初心者は危険が多いものの、いくつかのポイントに気をつけてさえいれば大損を回避する助けにすることができます。ここでは、株初心者が特に知っておきたい、株取引にまつわる危険や大損を回避するために行なっておきたい方法をわかりやすく具体的にご紹介していきます。

 

株は初心者にとって危険なのか?

企業の株価変動から利益を出すのが株取引です。つまり、株価の変動に応じて株を売買することにより、利益を出すのがその本質です。変動の波にうまく乗ることが出来ればそれに越したことはありませんが、思わぬ波に飲み込まれて痛手を負うことも往々にしてあります。

 

 

たとえば企業の不祥事などで株価が下がった、上場廃止になった、経済全体の影響で株価が下がった、レバレッジをたくさんかけたのに株価が下がったなど、会社の経営でさえもトラブルが多く予想通りに事が進まないもので、その会社の株を売買しているわけですから、思わぬトラブルが起きないことのほうが少ないでしょう。

 

そして特定の企業や業界、または経済全体で大きな変動があると周辺の株価変動も大きくなることから損する可能性もまた高くなります。

 

しかし、ある程度までは個人でも企業や経済の動向は把握することもできますし、この手のリスクは初心者も上級者も条件は全く同じです。

 

むしろ、未公開の情報で株取引をするのはインサイダーにあたる可能性もありますので注意しておかなくてはなりません。

 

株で大損するとどうなるの?

株で大損といえば、100万円で買った株が50万円になってしまった、株の価値が1/3になってしまったという話をきいたことがあるでしょうか。

 

よく、芸能人が株で失敗した、というケースで出てくる話ですね。

 

 

バブル崩壊、リーマンショック、ITバブル崩壊など経済全体で大きなショックがあると軒並み株価が暴落するため、このショックがかなり大きなものとなってしまいます。

 

 

また、未公開株というキーワードで胃が痛くなる思いをする方もいらっしゃるかもしれません。周囲にやめておくようにアドバイスされていたにも関わらず全力で未公開株を買うことに走り、結果的にかなりの損害を出してしまったというケースも枚挙にいとまがありません。

 

コラム:今さら聞けない!リーマンショックはどんな話?

株の取引相場の取引において、初心者の方は特にリーマンショックというキーワードを思い浮かべることも多いのではないでしょうか。

 

当時、リーマンショックというキーワードで胃を痛めた方が非常に多く、また、株の取引に関連せずともご自身の本業の方でリーマンショックによる痛手を負ったことがある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

実はこのリーマンショック、日本国内において特定の株価の暴落という事象が起こったわけではありません。アメリカの超巨大投資銀行であるリーマンブラザーズホールディングスがまさかの経営破綻を起こしたというのがその発端です。

 

「まさかの」、というのは、経営破綻をした当時、リーマンブラザーズは世界最強クラスの規模を誇る投資銀行で、その資本金はなんと2007年当時で224億9000万ドルという途方もない金額でした。

 

しかしこのリーマンブラザーズ、サブプライムローン問題に端を発し最終的におよそ64兆円という超巨大負債を抱えて倒産するに至りました。

 

つまり、リーマンショック自体は日本で起こった事象ではないのです。

 

この史上最悪とも呼べるリーマンブラザーズの倒産により関係各社の資金繰りや株価が悪化し、そのあおりで日本国内の企業の経営を圧迫したり、株価の暴落につながったのです。そこから、大きな経済変動の煽りを受けて株の投資家が痛手を負った、というのが株投資家サイドからみた、一番分かり良い日本国内におけるリーマンショックの概略です。

 

株の退場ってどういう状況?

 

FXの投資などではよくそれ以上を投資することができない状況であることや、多くの追証金が発生してしまい、借金地獄に陥ってしまったことを「退場させられた」と表現しますが、株式投資にも「退場」という状況は残念ながら存在します。

 

基本的に株式投資において退場というのはそれ以上投資をすることができず、トレードから文字通り姿を消すことを言います。

 

とはいえ、FXなどかなりのレバレッジをかけて取引するというような性質のものでもありませんので、株式投資の場合はそこまで退場というキーワードに過敏になる必要はありません。ただしレバレッジをかけた取引など、株式投資の中でもハイリスクハイリターンな種類のものに失敗すると、最初2000万円あった種銭が評価額600万円以下、あるいは200万円以下など悲惨な状況になることも考えられます。

 

こうなると、株取引から身を引かざるを得ないというわけです。

 

株での大損を避けるなら、必ず余剰資金で運用を

 

株で大損をするのを回避するために、一つ守りたいことがあります。

 

生活に必要なお金や、手をつけてはいけない性質のお金を株投資に突っ込むことだけは避ける、ということです。

 

とても簡単なルールに思えますが、お金が絡むと人間正常な判断ができなくなるもので、本当に手をつけてはいけない性質のお金を株式投資に回し、その投資に失敗した関係で人生が崩壊してしまったというケースも枚挙にいとまがないのです。

 

例えば会社の業務で集金した数百万円単位のお金をそのまま株式投資に突っ込み、突っ込んだ翌日、銘柄がストップ安になるなど、想像するだに恐ろしいこともよく起こります。

 

市場の流れと信用取引の有無で結果が大きく変わる

株の取引において大損するかどうかは、大きく分けて2パターンに分かれます。

 

一つ目は、市場全体が下降しているときです。

 

バブルが弾けるなど、これまで右肩上がりだった株価が急降下すると、株価の価値が半分、1/3などに下がることも考えられます。

 

二つ目は、信用取引に失敗して借金を背負うというパターンです。

 

信用取引というのはいわゆるレバレッジとも呼ばれるような手法で、証券会社との信頼関係構築や担保差し入れにより、手元の資金や買い付け余力以上の金額で株の取引を行う方法です。現在のところ日本国内では担保のおよそ3倍程度までレバレッジをかけた取引が可能となっています。つまり、200万円の担保があればその3倍である600万円程度まで取引ができるというわけです。

 

この信用取引で勝負に負けると、これまでの資産を失うばかりか借金が出ることもあります。

 

信用取引はここぞという時に勝負をかけると大きな利益になる可能性もあるのが魅力ですが、その反動もすごいことになります。

 

上手く行けばよいのですが、そうでなければ・・・そのリスクをきっちり覚えておく必要があります。

 

株初心者が大損を回避するには?危機管理が大切

ここからは株の初心者の方が、株の取引によって大損をしてしまうという状況を避けるためにどのような行動を取れるか?という部分をご紹介していきます。

 

適切な投資判断を行うことは言うまでもなく投資家のやるべきことではありますが、必ずしもうまくいかないのが投資の世界です。そこで、特に株初心者の方は大損を回避するため危機管理を適切に行っていくことが何よりも重要となります。

怪しい銘柄には手を出さない

 

一番重要なことの一つに、怪しい銘柄には手を出さないというものがあります。これはもはや、株初心者のうちは鉄則とされても宜しいかもしれません。とにかく株の初心者であれ上級者であれ、利益がすごいことになりそうな銘柄がある、またはそういった銘柄の噂を耳にすることもあるのではないでしょうか。

 

特にクローズドな環境では、こう言ったとんでもない「化け物銘柄」の噂を耳にすることが往々にしてあります。特にそれが未公開株であれば、その買い付けに躍起になるというケースもあります。

 

またSNSをはじめとするプラットフォームでやたらと注目されているなどでその名前が出てくるケースも。基本的にこういったケースで未公開株であれば、上級者でも引っかかることのある「危ない銘柄」である可能性があります。期待値ばかりが上がっており、特に未公開株の場合は蓋を開けてみたら残念なことになってしまった、というのもよくある話です。

 

このような案件には最初から手を出さないと決めておく、などルールを徹底することが何よりも重要です。また、株の取引や投資は投資家自身のメンタルコントロールが重要だとする説もあるなど「投資のルール」を徹底するという戦略は非常に重要です。

 

そのためこの銘柄だけは大丈夫、のような例外ルールを作ってしまうようだと投資に失敗する可能性も出てきてしまいます。このような怪しい案件は魅力も満点なことから、とにかく例外ルールを自分で作って突っ込んでしまいがちです。

 

しかし最初からこういった案件には手を出さないというルールを作り、それを徹底することで少なからずこういった案件に手を出してしまうリスクを軽減することができるのではないでしょうか。

 

国内外の政治や経済は常に把握しておく

 

国内や世界的に影響力がある政治家や官僚、経済指標、政治情勢が株価に影響を与えることが多いのはご存じのとおりです。

 

ならば、市場が開く前にその政治経済はチェックし、株価の大まかな流れを予測しておくのは投資家たるもの、やっておくべきことの一つです。

 

また、国内外の政治経済に関連するニュースは、複数のブログメディアなどで追跡することも可能です。新聞の情報のみならず、追加情報はブログでチェックするというのも一つの戦略でしょう。そのため、効率的にブログの記事などをもとにして情報収集を行うことができる体制を構築しておくというのも投資家としてはやっておくべきことのひとつです。

 

更にこういった情報を絶えずチェックすることができる体制を整えておくことは、最終的に大損を回避するための「転ばぬ先の杖」になるというわけです。

 

オンタイムでの情報収集が難しければ、経済誌やアナリストの解説や予測を参考にするのも1つの方法です。また、主な政治経済の動きがまとめられたカレンダーもあるので定期的にチェックしておくとよいでしょう。

 

無理にIPOに手を出さない

 

近年、大型のIPOが話題になっているところですが、上場後の株価はどうなっているかしっかり把握しているでしょうか?

 

IPOと言うと会社としても株としても夢があり、欲しくなってしまうものです。

 

とても魅力ある株ですが、未公開株とあわせてよく詐欺に使われるキーワードであることも忘れてはいけません。実際にIPO案件で痛い目を見たという話もよく聞かれます。

 

特に未公開株やIPO関連株は情報が出回っていないことがほとんどであることから、経験と「カン」、そして独自のコネクションなどから導き出される断片的な情報を組み合わせて最終的にはご自身で投資判断をするほかありません。

 

こういう時こそご自身の判断が鈍らないようにしっかりとルールに則って投資判断を行うべきと言って良いでしょう。また、このような判断がつかない状態であるならば、無理にIPO案件に手を出さず、初心者のうちは一般的な銘柄で投資を行うようにする方が比較的安全と言えます。

 

専門用語のチェック:IPOとは

IPOとは、これまで上場していなかった企業が新規上場し、新たに株を発行したり売る新規公開株。歴史が浅い企業から、これまで上場していなかった大企業のIPOなどさまざまなパターンがある。とりわけ大きなIPO案件の場合は、広く一般にニュースリリースがなされることもある。ただしその性質を利用して、IPO関連の中でも特に詐欺のスキームに使われることがあるなどリスキーなものも存在する。

 

極端な信用取引は避ける

 

信用取引は、自分の予約以上に取引をすることができるため、ハイリスクハイリターンで取引を行うことができます。しかし信用取引はやりすぎてしまうと、ハイリスクの方が勝ってしまい、大変なことになるケースもあります。信用取引は初心者のうちは絶対に控えるべきだ!とまでは申し上げませんが、あまりにもレバレッジをかけている取引はよく考えてから手をつけるようにしましょう。

 

逆指値を設定しておく

 

大損を避ける方法として考えられる一つの方法が、指値や逆指値を設定しておくという方法です。損切りと合わせてよく解説されるテクニックでもあります。

 

たとえば、「〇〇円以下で株を売る」が逆指値の成行売り注文です。

 

つまり、ご自身が相場の動きを追いきれない時にも、逆指値を設定しておくことにより、予想以上に株価が下がる前になんとか売却することができるというわけです。

 

これを予め設定しておくことで損を最小限に抑えることができます。

 

もう少し、詳しく見ていきます。

 

大損するケースに、ちょっと目を離したすきに株価が乱高下し、暴落していた、

気づいていたらすぐに売ったのに!というケースがあったとしましょう。

 

これを防ぐのが逆指値の成行の売りです。

 

「〇〇円以下になったら売り注文をさせる」設定ができるため、こういうことを想定して使います:

 

・機械で自動的に損切りするので、また株価が上がるかなど考えているうちにさらに下降するリスクをカット

 

・事前に設定しておくことで、知らないうちに株価が暴落していることを防ぐ

 

・損する幅をある程度想定しておくことができる

 

ちなみにポイントは「〇〇円以下になったら□□円で売る」と値段を決めないことです。

 

もし、市場で大きな動きがあって一刻も早く売りたいとき、□□円で売ると決めると、需要と供給があわず、□□円での売り注文がまとまらず売り切れないことがあるためです。

 

このメリットがある一方、□□円で売りと値段を決めないということは、想定の□□円よりもより安く売られる可能性があることも覚えておきましょう。

 

オーバーキャパシティの案件や投資手法に手を出さない

 

ご自身の現在の知識量や経験則から、手を出すことが必ずしも相応しくない案件というものは必ず存在します。しかし、今までに経験がないものの、どこかチャンスを感じて突っ込んでしまうというケースもよくある話です。しかし、こういった取引において、経験値がないけれどもとりあえずやってみよう、というのは危険でしかありません。

 

そのため、ご自身のキャパシティを超える案件や現在の知識量では太刀打ちできないような案件については手を出さないというのが鉄則です。また、付け焼き刃の投資手法に手を出さないというのも重要でしょう。

 

聞きかじっただけの行為を実戦で試すものではない、とはよく軍人さんが言うことですが、株の取引はいわば戦場そのもの。聞きかじっただけでバックテストも行っていないような方法を株式投資の実践で行うことは愚の骨頂と言わざるを得ません。こちらも大損する可能性が極めて高いことから、初心者の方は特に真似してはいけません。中級者から上級者の方についてはこのような新しい取り組みについて忌避する傾向にあり、仮にチャレンジするとしても、余剰資金で実験的に行うというのが一般的です。

 

どうしても新たな手法やオーバーキャパシティと思われる手法を試したければ実戦投入前に株式投資のシミュレーターなどを使ったり、実際に投資したと仮定して、値動きを見ながらどんな動きになったかをまず確認するというところから始めましょう。

 

幾度かのテストや確認作業の上、問題なく実戦投入できそうな手法だとわかった時点で、またはご自身の中で、その手法のことを理解できたと感じられた段階で、実戦投入をしても決して遅くはありません。大損をしては意味がないのですから、マイナスは極限まで小さく、プラスも少しずつの積み重ねを心がけて行動するようにしたいところです。

 

専門用語のチェック:指値、逆指値、成行注文とは

指値注文:売り買いする値段を自分で指定する注文

逆指値注文:指定した価格の以上・以下になったら、売り・買いすること

成行注文:売買の値段を指定しない注文方法。そのタイミングで成立しうる、最もメリットのある金額で注文が成立する

まとめ

株式投資は、初心者の方が必ず大損するという仕組みではもちろんありません。むしろ、初心者の方でもルールを守り、そして不必要にリスキーな行動を取りさえしなければ、少ない金額から株の投資や取引を行うことができます。今回ご紹介したようなポイントを押さえておくことにより、初心者の方が株で大損するようなリスキーな状態になることを避ける一助とすることができます。


監修:フィデリア株式投資顧問
2014年に設立した投資顧問会社。代表がトレーダー出身。銘柄の材料性とテクニカルを意識した的中率の高い銘柄選択が人気。Yahoo!ファイナンスにも銘柄予想を執筆中。