「株主優待」。

 

なんと特別感のある甘美な響きでしょうか。

 

特に、ちょっとした買い物の時に株主優待のチケットなどを出すことにより優越感を感じるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。事実、株主優待は優越感を感じて良いチケットです。

 

リッチで特別な株主優待券。それでは、この株主優待にはどのようなものがあるのでしょうか?そして株取引の初心者でも簡単に手に入る代物なのか?こちらについてもわかりやすくご紹介していきます。

第2の桐谷さんを目指せ!株主優待とは?

テレビ番組でよく紹介される「桐谷さん」という投資家さんがいらっしゃいます。桐谷さんは様々な株主優待を持っており、これを使い切ることに情熱を燃やされている方です。桐谷さんを見て「自分も株主優待を使いこなす第2の桐谷さんになりたい」と、そう思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

金券ショップや航空券購入画面で目にする航空会社の「株主優待」。

 

ファーストフードのチェーン店でも目にする「株主優待限定お食事券」。

 

これらがまさしく株主優待です。

 

株主優待というのは特別割引チケットのようなものではありません。株を発行している企業が自社の株を一定数以上を保有してくれている株主だけに、特別に日頃の感謝の気持ちとして送る優待というのが株主優待です。

 

よくあるパターンとしては、100株以上株を保有している株主に、定期的に自社の優待券や金券に準ずるもの・あるいは自社の製品をプレゼントするというものがあります。なかには株主限定のオリジナルグッズを株主優待品として特別に作り、そのグッズで人気を集めている企業もあります。このように企業側から感謝の気持ちの表れとともに、企業側としては株主を集めるための方策という側面もある株主優待。なかなかに奥の深い存在です。

 

 

さらに、最近の社会の流れからか、ビットコインやポイントを株主優待としてもらえる企業まで出てきており、近年ますます注目を集める存在です。

なぜ株主優待がもてはやされるのか?

 

株主優待というだけで特別感があるが、なぜこれほど株主優待が人気なのでしょうか?

 

それは、配当と合わせると利回りがアップするからに他なりません。

 

たとえば配当利回りが2%、株主優待の利回りが2%の株があったら、トータルで4%もの利回りになるのです。

 

「たった数%の差じゃん!」

 

と、あなどるなかれ。

 

株主優待があるのとないのとでは、塵も積もれば山となります。

 

投資ライフのトータルな成果にも、如実に影響が出てくる可能性があるというわけです。

 

というより、数パーセントの「差」を大事にできなければ、投資家として大成することは難しいのかもしれません。

 

また、株主優待はご自身が使うというケースのみならず、人にプレゼントしたり、あるいは奥様に使っていただくという方法もあります。

 

主人が株主で、定期的に奥様は株主優待を使うことができる─奥様の周りからの評価もうなぎのぼり、奥様はさぞ「鼻高々」なことでしょう。

 

このように様々な部分でメリットのある株主優待。

 

株取引をするなら、初心者の方でもまず目をつけておいてよいでしょう。

もちろん、初めての株取引でも、株主優待を受けることは可能です。

桐谷さんのような株主優待生活は送れる?

 

先ほどもご紹介した通り、毎日いくつもの株主優待を使って生活している桐谷さんがテレビで・投資業界で話題です。

 

桐谷さんのような生活に憧れている方、桐谷さんみたいな株主優待生活を送りたいと思う方も多くいらっしゃることでしょう。

 

しかし、とはいうものの、です。

 

桐谷さんのようにいきなり大金を突っ込むことは難しいというケースがほとんどではないでしょうか。桐谷さんはプロの投資家、種銭の「ケタ」が違う!と思う方もいらっしゃるでしょう。

 

おっしゃる通り、桐谷さんは一体いくらほど株を買っているのか・・・そして、いくらほど突っ込んできたのか・・・。

 

でも、ご安心ください。いきなり桐谷さんのように大金で株を大幅に購入せずとも、少額の株から優待を出してもらうことができるものも存在します。初めての株取引、そしてはじめての株主優待ゲットはこちらからスタートしてみるのも良いでしょう。

株主優待で得られるもの

株主になると商品券、優待券、食品、オリジナルグッズなどがもらえるのが株主優待です。

 

株主優待は数年以上株を持ち続けてくれたり、たくさん株を買ってくれた「いわゆるお得意様」に向けたタイプもあります。

 

こういった株主優待はその株を何年間持ち続けたか、そして何株以上保有しているかなど「保有年数や保有株の数量」により、株主優待の内容に差をつけているケースが多く見られます。

 

しかし、短期間の保有でも株主優待がもらえる株も多くなりました。

 

 

ここからは、主な株主優待を見ていきましょう。

 

全ての株式会社が株主優待を用意しているわけでは当然ありませんが、より魅力的な株として株主優待を用意することで、株主を集めようとする大企業も多くみられます。そのため初めての株は株主優待目当てで購入するというのも全然アリ!ではないでしょうか。

 

株主優待1.自社サービスの割引・優待券

いわゆる株主優待でイメージするものがこれにあたります。

 

航空会社の株主優待券などが有名ですね。

 

主に自社サービスの無料券、割引券、優待券を株主限定で出しており、交通インフラ、観光、不動産など幅広い業界の企業がこのタイプの株主優待を発行しています。

 

ちなみに、銀行などの金融機関なら金利上乗せのサービスが多いのも見逃せないポイントです。

 

このタイプの株主優待のうち、国内大手企業の実例は下記の通りです。

 

・「全日空」は、100株で国内線が半額となる株主優待割引券1枚

・「日本航空」は、100株で国内線が半額となる株主優待割引券1枚

・「JR東日本」は、100株ごとに運賃20%割引券1枚

・駐車場で有名な「日本駐車場開発」では、1,000株以上で駐車場30%オフの割引券

・「ココカラファイン」は、100株以上で2,000円相当のココカラファインで使えるお買い物優待券

・「中京銀行」は、1,000株で定期預金を店頭表示金利+0.3%など

株主優待2.金券

 

「金券」を発行するのも株主優待としてはよくある話。

 

いわゆるクオカードやおこめ券・図書カードなどを株主優待として発行しているケースが多く、より即物的にこういった金券や商品券をゲットしたいという時は、下記のような企業の株を取得することをお勧めします。

 

金券又はそれに準ずるものを発行している企業の実例は下記の通りです。

 

・印刷会社の「サンメッセ」は、100株で1,000円相当のオリジナルクオカード

 

・飲食店経営や飲食店コンサルの「G-FACTORY」は、100株で1,000円相当のクオカード

 

・「秀英予備校」は、年間100株で1,000円相当の図書カード

 

・「電算」は、100株で4,000円相当の三菱UFJニコスギフトカード

 

・ドラッグストアの「サンドラッグ」は、100株でお米券3kg分、または5,040円相当のヘアケアセット

 

・「イオンモール」は、100株で3,000円相当のイオンギフトカード、カタログギフト、カ

ーボン・オフセットサービスのいずれか

 

・「さくらインターネット」は、年間100株で1,000円相当のクオカード

 

・卵の「ホクリヨウ」は、100株で500円相当のたまごギフト券

 

株主優待3.テーマパーク・スポーツ施設などの優待

 

スポーツ関連施設やテーマパークなどを運営している企業が優待券を出すケースも昔から多くみられます。

 

スポーツ好きの方やテーマパークによく行くという方には特にお勧めできるのがこのタイプの株主優待です。オリエンタルランドやサンリオなど、超有名なテーマパークの株主優待なども存在します。実例は下記の通り。

 

・「オリエンタルランド」は、100株でTDLまたはTDSの1デーパスポート1枚

 

・「サンリオ」は、100株でテーマパーク共通優待券3枚、または1,000円相当の買物優待券

 

・「よみうりランド」は、100株でよみうりランド招待券、または川崎・船橋競馬場の株主入場パス2枚

 

・「歌舞伎座」は、150株で劇場歌舞伎座の招待券1枚

 

・「セントラルスポーツ」は、100株で施設無料体験や子供向け短期教室受講料半額などのチケット3枚

 

・「日本ハム」は、500株でスポーツ観戦チケット

 

・「ヤクルト本社」は、100株で外野自由席4枚

 

・「ディー・エヌ・エー」は、100株でプロ野球観戦チケット1枚

 

・「ルネサンス」は、100株で自社施設の利用1回無料の優待券2枚

 

・「ラウンドワン」は、100株で2,500円相当の割引券またはクラブ会員入会券1枚

株主優待4.カタログギフト

 

多くの商品から株主優待をご自身で選びたい時はカタログギフトの株主優待を取得されるのがよいでしょう。通常のカタログギフトはもちろん、株主優待品限定のカタログなど特別に用意されたカタログギフトも存在します。実例については下記に示します。

 

 

・「日産自動車」は、100株以上保有し、日産の新車を購入すると5,000円相当のカタログギフト

 

・大手ディーラー「VTホールディングス」は、1,000株で5,000円相当のカタログギフト

 

・「日本管財」は、年間100株で4,000円相当のカタログギフト

 

・「KDDI」は、100株を5年未満の保有で3,000円相当のWowma!商品カタログギフト

 

・「NECキャピタルソリューション」は、100株を1年未満の保有で2,000円相当のカタロ

グギフト、1年以上の保有で3,000円相当のカタログギフト

 

・「ココカラファイン」は、100株以上で2,000円相当のカタログギフト

 

・「ベネッセホールディングス」は、100株で株主優待品カタログ

株主優待5.食事券・優待食事券

マクドナルドやモスバーガーなど、全国チェーンの飲食店を展開する企業に多いのが、自社チェーンで使うことができる食事券です。100株の保有から2,000円相当の食事券を株主優待とするケースが多く見られ、保有株数が増えていくとそれだけ優待も増えるという特徴があります。

 

 

・「鳥貴族」は、年間100株で2,000円相当の鳥貴族で使える食事券

 

・「日本マクドナルドホールディングス」は、年間100株で2冊のマクドナルドで使える無料引換券

 

・洋菓子の「不二家」は、100株で3,000円相当の不二家のチェーン店で使える優待券

 

・「B-R サーティワンアイスクリーム」は、年間100株でサーティワンで使える2,000円相当の優待券

 

・モスバーガーの「モスフードサービス」は、年間100株で2,000円相当のモスやミスドで使える優待券

 

・「サンマルクホールディングス」は、100株で10~20%割引となるサンマルク株主優待カード

 

・「吉野家ホールディングス」は、100株で3,000円相当の株主優待食事券

株主優待6.食品

 

サービス券や割引券、株主優待券はもちろんのこと金券まで!

 

株主優待にはいろいろあることがわかりましたが、食品メーカーなどに多く見られるのは、自社の商品をそのまま株主優待としてしまうケースです。

 

育ち盛りのお子様がいらっしゃるご家庭や、とにかく食べることが好きな食通の方にお勧めできるのがこちらの株主優待です。

 

国内の大手食品メーカーの株主優待を中心に、株主優待品が食品の例をご紹介していきます。

 

 

・ビールで有名な「サッポロホールディングス」は、100株3年未満保有で350ml缶ビール詰め合わせ4本や、1,000円相当の食品飲料詰め合わせなど

 

・精肉に強いスーパーの「ジャパンミート」は、100株で2,000円相当のお肉製品

 

・イナバ物置の「稲葉製作所」は、300株以上で地域特産品3,000円相当

 

・「マルハニチロ」は、100株で水産缶詰の詰め合わせなど

 

・「日清製粉グループ本社」は、500株で日清フーズ製品詰合せセットなど

 

・「山崎製パン」は、1,000株で3,000円相当のフルーツケーキ5個入など

 

・「亀田製菓」は、100株で1,000円相当の自社製品詰め合わせ

 

・「プリマハム」は、200株で3,000円相当の自社ハム

 

・「日清オイリオグループ」は、100株で1,500円相当の自社食用油

 

・「日本ハム」は、年間100株で3,000円相当の自社グループ商品

 

・「日本水産」は500株で3,000円相当の缶詰や瓶詰などの自社製品

 

・「明治ホールディングス」は、100株で2,000演奏等の菓子などの自社グループ商品

 

株主優待7.自社製品

 

食品以外にも、自社製品を株主優待としている企業は存在します。

 

ここでは、日用品メーカーや医薬品メーカーなどの企業が行なっている自社製品の株主優待について実例をご紹介していきます。

 

・「ロート製薬」は、3年以上100株保有か、3年未満500株保有で3,000円相当の自社製品

 

・「大王製紙」は、100株1年以上保有で1,000円相当の自社製品(トイレットペーパーやティッシュなど)

 

・「資生堂」は、100株1年以上保有で自社製品

 

・「コーセー」は、100株3年未満保有で4,000~6,000円相当の自社製品。3年以上保有で7,000~9,000円相当の自社製品

 

・「ゼリア新薬工業」は、100株でヘパリーゼW10本

 

・「セメダイン」は、100株で100~500円相当の自社製品

 

・「キングジム」は、100株でグループ会社商品2,500円相当

 

・「ヒロセ通商」は、100株で10,000円相当の自社キャンペーン商品

株主優待8.ポイント

 

ポイントカードや製品を利用したことによるポイントの付与を楽しみとされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

保有株数などに応じて自社ポイントのプレゼントそのものを株主優待とする企業も出てきました。付与されたポイントは商品の購入やサービスの利用などに交換することができるため、より即物的で利便性の高い株主優待ということもできます。

 

ここではその実例をご紹介します。

 

・「RIZAPグループ」は、100株で2,000円相当のポイント付与

 

・「ロート製薬」は、100株で自社500ポイント付与

 

・「ハウスドゥ」は、100株を2年未満保有で1,000ポイント付与、1,000円相当

 

・「りそなホールディングス」は、100株で毎月20クラブポイント付与

 

・「ヤマハ発動機」は、100株3年未満保有で1,000ポイント(関連施設の割引やスポーツ観

戦ペアチケットなどと交換

株主優待9.オリジナルグッズ

 

株主優待の中でも特にレア度が高く、また特別感を感じられるのが「株主優待のオリジナルグッズを受け取ることができる」というケースではないでしょうか。

 

株主のみがもらえるオリジナルカレンダーやオリジナルグッズを優待にもうける企業も最近は多くなりました。

 

凸版印刷やタカラトミーをはじめとする、これらの実例についてもご紹介します。

 

・「タカラトミー」は、100株でオリジナルトミカ2台セット。2,000株でオリジナルトミカ4台とオリジナルリカちゃん

 

・「ホンダ」は、3年以上100株保有でHondaオリジナルフレーム切手や、100株でHondaカレンダーやレースイベントへの応募ができる

 

・「凸版印刷」は、500株で自社オリジナルカレンダー

 

・「光・彩」は、100株で3,000円相当のオリジナルジュエリー

 

・「ブロッコリー」は、うたの☆プリンスさまっ♪マスコットキャラクターズの非売品スキレット1点

 

株主優待10.寄付

 

株主優待は、何も品物や商品券を受け取るだけではありません。社会貢献として株主優待で「寄付する」という選択肢を用意している企業も存在します。株の保有年数・保有株数で寄付できる金額なども変わりますが、1,000円から寄付できるケースが多く見られます。

 

 

寄付を受け付けている主な株主優待企業は下記の通りです。

 

・日本ハム

・ヨンドシーホールディングス

・大和ハウス工業

・中村屋

・明治ホールディングス

・サッポロホールディングス

・アサヒグループホールディングス

・ファンケル

 

 

また「変わり種」の株主優待として、ビットコインがもらえるものもあります。

 

「スリープログループ」では、100株で1,000円相当のビットコインを年間2回、つまり1年で2,000円相当まで付与してもらうことが出来ます。

 

初めての株主優待!おすすめはどこ?

初めて株を買うとき、せっかくなら株主優待を使う予定のある企業の株を購入したいところです。配当だけでなく、株主優待ももらえるならもらっておきましょう。

 

そうなると、日用品やテーマパーク、ファーストフード、航空会社など普段から利用する会社の株を購入するのがお勧めと言って良いでしょう。

 

例えばファーストフードチェーンであればマクドナルドやモスバーガー、そして吉野家などは先ほどご紹介した通り株主優待を発行しています。

 

また、東京ディズニーリゾートにJR、スーパーなどよく利用したり年に1回は利用する施設の株主優待をチェックしてみるのも良いですね。

 

そして、特にこういったお気に入りのサービスや企業がなければ、幅広く使うことができる商品券のクオカードを株主優待として発行している企業もお勧めです。クオカードは使いみちがたくさんあるので、使いきれずに困るということはないでしょう。

 

最後に、株主優待は100株から受け付けていることが大半ですが、この100株が一体いくらかは企業によってバラバラです。

 

10万円前後で100株買えることもあれば、数十万円、中には100万円以上で100株というケースも。

 

そんな中、10万円前後で株主優待がもらえると、ちょっと嬉しいもの。

 

初めての株主優待は10万円前後で買える株からのスタートも大アリです。

 

まとめ

案外、株の初心者でも簡単に手に入れることができる株主優待。

 

その種類や優待される内容は企業や保有株数によってバラバラです。しかしバラバラということはご自身やご家族にフィットする株主優待を探す楽しみがあるということに他なりません。

 

そのため、株初心者の方はまず株の運用による即物的な利益は一旦抜きにして、単純にお好きな株主優待をチョイスして株を買うというのも一つの楽しみ方です。


監修:フィデリア株式投資顧問
2014年に設立した投資顧問会社。代表がトレーダー出身。銘柄の材料性とテクニカルを意識した的中率の高い銘柄選択が人気。Yahoo!ファイナンスにも銘柄予想を執筆中。